美容師や理容師の命とも言えるシザー。カットのテクニックを存分に発揮できる新しいシザーをお探しですか。一言で「シザー」と言っても、その種類も用途も実にさまざまで、どれが良いのか迷ってしまうほどです。そこで今回は、シザーの選び方や種類とともに、おすすめのシザーを10丁ご紹介します。あなたに合った運命のシザーを見つけてください。
Last Updated:2021/3/3
プロ用シザー(ハサミ)の選び方
プロ用のシザー(ハサミ)の選び方についてお話します。美容師・理容師が使用するプロ用のシザーは、種類が豊富で使用方法によって必要なシザーの種類も変わってきます。多くの美容師・理容師は、豊富な種類のシザーの中から厳選して、4~5丁のシザーを持ち、使い分けています。
新しいシザーを探す場合は、シザーの種類や特徴を理解してから、自分に必要な種類のシザーを必要数選ぶようにしましょう。
シザーを選ぶ際、専門のカタログを見る美容師・理容師が多いですが、最近ではネットで気軽にシザーを比較する美容師・理容師も増えてきました。ネットではアウトレット品など、普通に購入するより安く手に入る場合もあるので魅力的です。
また、実際にそのシザーを使用している美容師・理容師の口コミなどが載っていると、より購入の参考になりますよね。
ベーシック
ベーシックは、その名の通り、カットの基本とも言え、最も使用されるシザーです。オールマイティに使用できますが、主にベースカットやブラントカットの際に活躍します。大きさの異なるベーシックシザーを数種類使い分けている人もいますが、6インチのベーシックシザーが主流です。迷ったら6インチのものを持っておけば間違いないでしょう。
セニング
セニングは、髪の毛の長さを変えずに、髪の量を軽くする際に使用されるシザーです。どれくらい軽くするか(カット率・落ち率)の違いで、セニングの種類が変わってきます。カット率が20~30%のものが主流です。
セニングをいくつも持っている人は、カット率が低いシザーは前髪のカット、毛量の多い髪にはカット率の高いシザーを、というような使い分けをしています。
スライド
スライドは、片側にしか刃がついていないのが特徴的なシザーです。すべらせるようにして髪の毛をカットすることで、スタイルに動きを出せます。また、髪の毛のボリュームを抑えたいときにも活躍します。
スライドのシザーは、「スライド率」で使用感が変わります。スライド率が高いほど、カットできる髪の毛の量が少なくなるので、購入の際はスライド率に注目して選んでみてください。
アール
アールは、刃が「アール」の形をしたシザーで、細かい微調整や仕上げに向いているシザーです。スライドのように髪の毛にすべらせて使うこともできます。
刃の種類
シザーの作りの違いとは刃の種類、つまり形状の違いです。また、刃の形状によって同じヘアスタイルでも切ったあとの仕上がり・切りやすさが変わります。しかし、これは技術者の好みによるところも大きいので、どのような質感に仕上げたいのかに合わせて選んでみてください。
ハマグリ刃
ハマグリ刃は、シザーの峰から刃までがゆるやかな曲線になっているのが特徴です。その様がハマグリのように見えるためハマグリ刃と呼ばれています。ハマグリ刃のシザーは、髪の毛をしっかりつかまえてまっすぐに切ることができます。
メンズの刈り上げなどに最適で、パワーのあるカットができるシザーズ。最初の荒刈りから仕上げ刈りまで使えるので、一本持っておくと何かと便利です。
メーカー | 光 |
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ブランド | レイコスモス |
サイズ | 全長17.5cm/刃の長さ8.9cm/リング右:φ約2.0cm/リング左:φ約2.0cm |
素 材 | モリブデン鋼 |
形 状 | オフセット型コブなし |
サロン価格 | |
商品番号 | 70396 |
笹刃
笹刃は、笹のような形をした刃です。丸みのある形状なので、一般的にスライドに使われることが多いです。
曲線になっている刃が髪を逃がすので、最後の毛量調整・質感調整におすすめのドライカットに適したシザーズです。ボリューム感や動きのあるヘアスタイルを表現する際に役立ちます。
サイズ | 全長166mm/刃長69mm |
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素 材 | 最高級コバルト合金 |
形 状 | オフセット型コブ付3D |
サロン価格 | |
商品番号 | 115591 |
剣刃
剣刃は、刃の中央辺りが山のように盛り上がっている形状の刃です。切り口はハマグリ刃と似ていますが、髪の毛を逃がしながら切れる刃になります。
柳刃
柳の葉のようなゆるやかな曲線を描いたような形状になっている刃です。曲線となっているので、髪の毛を逃がしつつも、しっかりとしたカット感が出せる刃です。
段刃
段刃は、刃線部分から数ミリの辺りが研がれた刃で、刃自体がそれほど鋭くないのが特徴です。髪の毛を逃がしやすく、スライドにもよく使われています。
シザーの素材と使用感
シザーの素材と使用感についてお話します。シザーの素材によって、それぞれ特徴があり、使い心地も変わってきます。それぞれの素材の特徴は、シザーを選ぶ際の判断材料の一つになるでしょう。
シザーの素材としては、
- ステンレス
- コバルト合金
- ステライト(ビシライト)
- ハイス
- ダマスカス
の5つが一般的です。
それぞれ、簡単にご紹介します。
ステンレス
ステンレスは、錆びにくいのが特徴です。というのもステンレスは合金で、錆びやすい鉄に錆びにくいクロム・ニッケルといった素材を混ぜています。硬さという点では他の素材より劣ります。
コバルト合金
コバルト合金は、ステンレスにコバルトを混ぜた素材です。コバルトは、硬さが特徴の素材なので、ステンレス素材のシザーよりも刃がいたみにくく、長持ちします。コバルト合金の中でも、コバルトの含まれる量によって硬さが変わってきます。
ステライト(ビシライト)
ステライトは、ビシライトとも呼ばれる、コバルトを主成分とした素材です。コバルトの他には、クロムやタングステンが混ぜられた素材で、硬くて丈夫なのが特徴です。
ハイス
ハイスは、耐久性に優れているのが特徴の素材です。その秘密は、不純物が少なく、粉末の鋼材を焼いて固めて作るという、高い技術を必要とする製法で作られていることです。
ダマスカス
ダマスカスは、ハイスよりもさらに耐久性が高く、シザーの素材の中では最も丈夫な素材です。耐久性が高いということは、素材が硬く加工の難易度も高くなります。
見た目も特徴的で、シザーには波打つような模様が浮かび上がっています。
ハンドルの種類
シザーの使いやすさに大きく関係するハンドル。基本的に下記の3種類に分かれますが、それぞれの握りやすさには個人差があります。まず一通り試してみて、しっくりきたものを選ぶことをおすすめします。ハンドルに関しては、手になじみがいいかどうかなので、種類を揃える必要はありません。
メガネハンドル
唯一、裏返して使うことができるハンドルタイプ。シンプルなので長く使うのに最適で、初心者の方はこちらを選ばれることが多いです。
また、2017年度グッドデザイン賞を受賞しており、そのスタイリッシュで洗練されたデザインが人気のシザーズ。刃が直線的で、作りは細く、薄く、しかも軽さも兼ね添えており、顔周りなどの細かい作業や襟足の処理にも役立ちます。素材はコバルトベースアロイを使用しており、耐磨耗性にも優れた一本です。
メーカー | ジョーウェル |
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サイズ | 全長13.2cm/刃の長さ4.8cm/リング右:φ約2.3cm/リング左:φ約2.3cm |
素 材 | コバルトベースアロイ |
形 状 | メガネ型コブなし |
定 価 | |
商品番号 | 111054 |
オフセットハンドル
手の小さい女性でも開閉しやすいので、人気のあるオフセット。初めてシザーを購入する方は、メガネかオフセットのどちらか合ったほうを選ぶと間違いありません。
3Dハンドル
シザー(ハサミ)のメンテナンス方法
シザーのメンテナンスの方法をご紹介します。本当のプロは、自分の商売道具を大切に扱うものです。美容師・理容師にとってのシザーも同じで、日頃からメンテナンスをすることで、安定的なパフォーマンスを発揮できます。
大切なシザーを永く愛用するために、シザーを自分でメンテナンスする場合と、プロにお願いする場合の2つに分けてお話します。
シザーをセルフでメンテナンス
シザーの日常的なメンテナンスは、自分で行うことが可能です。簡単に言うと、
- セーム皮で全体の汚れを落とす
- ネジ・触点に油をさす
の2ステップで完了です。それぞれ、もう少し詳しくお話します。
1.セーム皮で全体の汚れを落とす
セーム皮やティッシュペーパーを使って、シザー全体の汚れをきれいにします。
髪の毛やパーマ液など、汚れが落ちないときはお湯で洗い流します。汚れの落ちやすさ・水分の蒸発しやすさという点から、水ではなくお湯がおすすめです。そして、次のステップに進む前に、しっかりとシザーの水分を拭き取ってください。
2.ネジ・触点に油をさす
シザー開き、ネジの下と触点に1~2滴ほど油をさします。お客様の髪に触れるシザーなので、専用の油を使ってお手入れします。
ネジ部分、裏スキ部分、反対側の刃にもそれぞれ1滴ずつ油をさしてください。仕上げにシザー全体に油をなじませましょう。
最後に、乾いたティッシュペーパーを使い、切れ味を確認してみてください。このとき、切れ味が悪いと感じたら、セルフメンテナンスでは対応できないので、プロにメンテナンスをお願いすることになります。
このセルフメンテナンスはできれば毎日、最低でも週に一回くらいのペースで行うのがおすすめです。
シザーのメンテナンスをプロにお任せする
切れ味が明らかに悪い場合や、シザーの使用感に気になることがあった場合は、プロにメンテナンスをお任せするのがおすすめです。
シザーの切れ味が悪くなったときは、刃を研ぐ必要があります。シザーの歯を研ぐには技術がいります。素人が研ごうとすると、逆に刃をいためてしまう可能性もあるのです。
シザーをメンテナンスに出すタイミング
シザーのメンテナンスをプロに依頼するタイミングは、切れ味が悪くなってきたときです。つまり、メンテナンスは「半年に一度」などの具体的な決まりはありません。というのも、シザーの使用頻度は人によって違うからです。
また、切れ味が悪くなったと感じたときは、早めにプロにメンテナンスをお願いするのがおすすめです。切れ味が落ちてから使い続けると刃こぼれが起きやすくなるので、メンテナンスの際にその分刃を多く研ぐ必要が出てきます。刃を多く研ぐということは、その分シザーの寿命が短くなってしまいます。
シザーを使う中で、自分なりのメンテナンスの頻度を見つけておくと良いでしょう。
シザーのメンテナンス費用
プロにメンテナンスをお任せする際の費用は、お願いする業者によりますが、だいたい3,000~5,000円前後くらいが平均的な費用です。また、メンテナンスに出すシザーの状態によって、メンテナンスの内容も変わってくるので、それに伴い費用も変わります。
ただいくらお金がかかっても、プロによるメンテナンスはシザーを使う以上は必須なので、費用を比較しながら信頼のおける業者に依頼してください。
シザーケースにもこだわりを
仕事中にシザーを収納するシザーケースも、こだわって選びたいところです。シザーケースの収納力や使い勝手は、そのまま仕事の質にもつながります。デザインの好みはもちろん、収納するシザーの数などに合わせて選んでみてください。
シザーケースの選び方ポイント
シザーケースを選ぶときのポイントを4つご紹介します。これからお話するポイントに注目しながらシザーケースを比較検討してみてください。
1.素材
シザーケースを選ぶときは、ケースの素材に注目しましょう。シザーケースの素材は合皮、本革が多いです。現場ではカラー剤やワックスなどがふいにつくこともあるので、気軽に使用するなら合皮がおすすめかもしれません。
しかし、合皮はシザーを出し入れする中で、縫い目部分から切れてしまうこともあります。その点、本革は丈夫な作りとなっています。
2.シザーの収納力
シザーの収納力もまた確認しておきたいポイントです。基本的には、4~5丁のシザーを収納できれば十分と言われています。自分が普段使うシザーの数に合わせて選びましょう。
3.小物の収納力
シザーケースを選ぶときは、シザー以外の小物を収納力も確認しましょう。シザーケースには、シザー以外にもコームやダッカールピンなども収納します。もちろんたくさん入れば入るほど良いというものではないので、仕事のしやすさや小物の出し入れのスムーズさなどを意識して選んでみてください。
4.デザイン
シザーケースは、そのデザインもまた注目したいポイントかと思います。デザイン重視で使いにくいシザーケースを使うのはおすすめしませんが、お気に入りのデザインのシザーケースを身に付けると、それだけで仕事のモチベーションも上がるものです。
ハンドメイドの一点ものや、クリアタイプのシザーケースなど、たくさんあって迷ってしまいます。使い勝手が良く、気分の上がるデザインと出会えると良いですね。
練習用カットウィッグ
カットの技術向上の相棒、カットウィッグ。新品のシザーを手に入れたら、まずは使い心地をカットウィッグで確認してみてください。
価格・品質ともにおすすめのカットウィッグをご紹介します。
100%人毛を使用して作られたカットウィッグです。毛質・長さ・毛量すべて申し分なく、実際にお客様の髪を扱うのに近い感覚でシザーの使い心地を確認することができます。
サイズ | 全長:約53cm、ハチ周り:約51cm |
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素 材 | 人毛100% |
毛 量 | 120g |
サロン価格 | |
商品番号 | 105277 |
あなたにぴったりの新しい相棒(シザー)を
シザーの選び方や種類、メンテナンスの方法などについてお話ししました。購入したいシザーは見つかりましたか。シザーは、人によって必要な種類や本数は異なります。初めは基本的なシザーをそろえておき、仕事をしながら自分のスタイルに合わせて買い足したり、使い分けたりしてみてください。
シザーは美容師にとって、大切な仕事道具です。カットの技術には無関係そうで、実は仕事道具を大切にできるかどうかで、プロとしての技術も変わってくるのが不思議です。悩みながら選んだこだわりのシザーは、仕事終わりにはセルフメンテナンスをして、できるだけ永く使えるようにしましょう。