短髪のパーマは、ワインディングの中でも難しい分類になります。しかし扱いにくい短髪であっても、ワインディングの基礎を覚えておくと、すぐに慣れてしまうでしょう。ベテラン美容師がどのようなポイントを抑えて、短髪のパーマを仕上げているか気になりませんか?やり方をまとめてあるので、苦戦している人は参考にしてみてください。
ワインディング技術の基礎知識
短髪でパーマに出すためには、ワインディングの基礎ができていないと、かなり難しいでしょう。それはロッドが引っかかりにくく、テンションがかからないためです。正しくワインディングができていると、引っ張っても髪が外れないので、パーマが出やすくなります。
- 引っ張りながらワインディングができない
- スライスの幅が広すぎてペーパーが破れる
- ゴムかけの時にロッドから手が離れてしまう
よく失敗してしまう一部の例ですが、このようにならないように正しいワインディングを身に着けてしまいましょう。工程ごとにうまくなるポイントがあるので、それをひとつずつこなしていけば、自然と短髪のパーマができるようになりますよ。
基本姿勢
まずワインディングの基本は、姿勢です。最初のうちは、つい力が入りすぎて猫背になってしまいます。
なるべく背筋を伸ばして、一定の距離を保った状態で、ワインディングができるようになりましょう。
力み過ぎない程度に、ちょうどいい力加減を身に着けると、自然と姿勢はよくなっていきます。逆に姿勢ばかりに気を取られていると、うまくワインディングできません。回数をこなして慣れることから始めると、基本姿勢がつかめてくるでしょう。
ブロッキング
パーマを安定してきれいに作るためには、ブロッキングの考え方が重要になってきます。ブロッキングとは、ロッドで髪を巻くワインディングの前に、どこを巻くのか把握するために髪を分ける作業です。
パーマが上手なベテラン美容師は、ブロッキングをしなくても、ある程度ロッドを巻く位置を把握しています。しかし最初のうちは、どこをワインディングするべきかわかりません。慣れるまではブロッキングをしてから、ワインディングをしてください。
特に短髪はちょっとした作業のクセで失敗しやすいので、ブロッキングをして正しいワインディングを身に着けましょう。
- 前髪~フロント
- サイド
- トップ(頭頂部)
- クラウン
- バック
- ネープ
ワインディングに関してのブロッキングの基本は、細かく分けることです。
ちなみにロッドの選び方が簡単にするためにも、ブロッキングをする意味があります。ブロッキングした部位の幅によって、ロッドの大きさを変えてしまいましょう。
スライス
ブロッキングができれば、次にスライスをしてロッドが巻きやすくしましょう。スライスとは、コームを使って髪を薄く取る作業です。
これも使うロッドの幅に合わせてスライスの広さを決めれば、ワインディングのしやすさが違います。
スライスの広さを取りすぎると、短髪のワインディングほど失敗しやすいでしょう。
またロッド幅より外にスライスして余計な髪を拾ってしまうと、ゴムがけのときにお客様が痛みを感じてしまいます。もちろん毛流れも不自然になるので、気を付けてスライスしてください。
コーミング
スライスした髪を今度はコーミングをして、髪の流れを整えましょう。短髪であっても、コーミングできていないと違和感のある毛流れになってしまいます。クセが付いたとクレームになりかねないので、正しいコーミングを身に着けておいてください。
コーミングの基本は、根元からしっかりコームを入れることです。
根元にコームを入れたら、引っ張った髪の毛が緩まないようにしっかり持ちましょう。そしてコームを回転させて、髪の毛を引っ掛けながら上に持ち上げます。
じつはこの回転が、大きなポイントです。髪の毛がうまく引っかかって、緩まずに髪の毛をコーミングできるので、感覚をつかんでください。
ロッド・ペーパー
短髪のワインディングで難しいのが、髪の毛をロッドとペーパーで挟める作業です。髪の毛が短いと、引っ張っていた髪の毛が緩みやすいので、ワインディングの基礎を忘れずに実践してみましょう。
コーミングした髪を左手に持ち替えて、人差し指と中指で髪の毛を挟みます。
このときに髪の毛の角度(ステム角度)には気を付けてください。ペーパーやロッドを持つときに、この角度が変わってしまう人が多いので、左手は動かないように意識しましょう。
最初は髪の毛の下にペーパーを持っていき、左手の中指と薬指で挟みます。ちなみに髪の毛よりペーパーを長く持つのが、短髪のワインディングのポイントです。
そして一番上にロッドを乗せて、親指と薬指でロッドを挟んでみてください。
次に毛先をペーパーで包むように、髪の毛を巻き込んでいきましょう。
このときに引っ張っている髪の毛を、できるだけ緩ませないのがポイントです。引っ張り具合で、パーマのかかり具合が違うので、短髪のときほど気を付けてワインディングしてください。
どうしても緩んでしまうのなら、ペーパーと髪の毛を霧吹きで濡らして、滑りにくくしましょう。短髪のパーマの場合は、ベテラン美容師でも濡らしてワインディングをしています。それだけ難しいワインディングなので、ためらわずに霧吹きを使ってください。
最後はロッドと髪の毛を根元まで巻いたら、ロッドがずれないように、手を固定してゴムがけをします。
ゴムかけ
ゴムがけは簡単な作業に見えて、短髪のパーマのときは難しい作業でしょう。それは短髪のパーマは、髪の毛がロッドから外れやすいからです。ゴムをかける瞬間に、ロッドが落ちるといった事態も多くあります。しっかりゴムかけをマスターして、髪の毛がロッドから外れないようにしましょう。
ゴムがけは3種類ありますが、短髪のパーマの場合は、一般的な1回がけより2回がけを使ってください。
このように、2回ゴムを引っかけるため、短髪でもロッドが外れにくくなります。
- 右手でロッドを抑える
- ゴムの中間を左手でつかむ
- ゴムをまとめて左側に引っ掛ける
- 左手でロッドを抑えながら右側へゴムを引っ掛ける
慣れないうちは、ロッドがぐらつく可能性があります。お客様が痛みを感じてしまうので、できるだけロッドは動かさないように、片手でロッドを固定できるようにしましょう。
ロッドの巻き方
パーマはロッドの巻き方によって、仕上がりが変わってきます。
ワインディングの基本は、平巻きと言って横にロッドを巻く方法は把握しているでしょう。しかしボリュームを出したくない人は、縦巻きという方法も使います。つまり角度によって、パーマのボリュームをコントロールできるわけです。
短髪のパーマであっても、お客様の毛流れに合わせて、ロッドの巻き方を意識しましょう。
ピンパーマ
短髪のパーマの場合は、ロッドが使えないほど短い髪を扱わないといけないケースもあります。その場合はピンパーマを使って、カールを出してしまいましょう。
特徴 | 仕上がり | |
---|---|---|
フェイスカール | ループの面が上を向くパーマ | くせ毛風カール |
チェンジフェイスカール | ループ面が半円で、裏側が出るパーマ | ボリュームが出にくいカール |
リフトカール | 根元を立ち上がらせるピンパーマ | 毛流れを作り、ボリュームアップするカール |
クロキノールカール | ファイスカールより2回転多く巻くパーマ | 大きめのカール |
フリップピンパーマ | ベースより上向きにカールを作るパーマ | ボリュームが出て外ハネする |
いくつか種類がありますが、どのピンパーマも髪の毛をペーパーで挟んで、ピンで固定させます。違うのは巻き方くらいなので、そこまで難しくありません。お客様が希望する髪型に合わせて、ピンパーマを使い分けましょう。
カールの種類
パーマで大事なのは、仕上がりがイメージできるかどうかです。カールの仕上がりにも種類があり、イメージした仕上がりに合わせて、ロッドや巻き方を決めていきます。
特徴 | |
---|---|
ハーフカール |
ロッドを1回転させるパーマ。毛先だけカールが出るので、自然に仕上げたい人向け。 |
ワンカール |
ロッドを2回転までに納めるパーマ。根元から毛先までカールを出したい時に使う。 |
フルカール |
ロッドを3回転までに納めるパーマ。髪の毛が乾いても、カールが出るのが特徴。 |
このように仕上がりが違うので、希望をよく聞いてから、ロッドや巻き方を決めてしまいましょう。カールの種類を知っておくと、短髪であってもパーマで失敗しにくくなるはずです。
ベストなロッド選び
パーマでは、ほとんどロッドを使ってワインディングをしていきます。つまりロッド選びも、失敗しないために必要な作業といえるでしょう。ここで大事になってくるのが、リッジです。
リッジとは、仕上がった後のカールのことです。選んだロッドがどのようにリッジが出るかイメージして、ロッド選びをしましょう。
基本は仕上がったカールの髪が1カールで、ロッドが1.5~2回転していると言われています。
- 髪の長さ
- ロッドの太さ
- 希望の髪型
つまりこの3つをよく見て、ロッドを決めれば失敗が抑えられるでしょう。
つぶれがちなトップのボリュームアップ
短髪パーマの中には、頭頂部のボリュームを出してほしいという人もいます。髪が短いからこそ、頭頂部のボリュームが潰れがちなので、パーマで補ってあげましょう。ポイントを抑えられれば、そこまで難しい作業はないので、覚えておいてください。
基本プロセス
頭頂部のパーマは、基本的に次のような流れで施術を行っていきます。
- プレシャンプー
- カット
- 前処理
- ブロッキング
- パーマ剤の1剤塗布
- ワインディング
- 中間水洗&リンス
- パーマ剤の2剤塗布
- ロッドを外す
- プレーンリンス
- 後処理
- コンディショニング
- 仕上げ
パッと見た感じでは長いと思うでしょうが、上記のように流れを覚えておくと、要点だけ気を付ければ間違いがありません。その中でも、次の2つを抑えておきましょう。
- カット
- ワインディング
この2つは頭頂部のボリュームを出すために、抑えておくべきポイントが少しあります。それを覚えておけば、お客様はあなたの短髪パーマで、満足してくれるでしょう。
カット施術のポイント
ボリュームを出すためにパーマを使う場合は、カットで動きを出やすくするのがポイントです。特に毛先にグラデーションを付けるなど、毛先が動きやすくしておきましょう。
また顔のシルエットに合わせて頭頂部を少し短くし、パーマがフンワリ仕上がりやすくするのもおすすめです。最後に髪が乾いた状態で、毛量を調整すればバランスがよくなります。
ワインディング施術のポイント
カットで調整すれば、後はワインディングでさらにボリュームを出やすくしましょう。
頭頂部にボリュームが欲しいので、アップステムでロッドを巻いてください。頭頂部以外はダウンステムで、ボリュームが出にくくすれば、メリハリがついて縦長のスタイルに仕上がります。
やわらかい髪をツンツンヘアにするときのコツ
短髪パーマの中には、ツンツンしたヘアスタイルにも仕上げられます。柔らかい髪質の人が希望するかもしれないヘアスタイルなので、折角短髪パーマを覚えたのなら、このヘアスタイルも覚えておいて損はないでしょう。
基本プロセス
ツンツンヘアにする場合も、基本的にパーマの流れは同じです。
- プレシャンプー
- カット
- 前処理
- ブロッキング
- パーマ剤の1剤塗布
- ワインディング
- 中間水洗&リンス
- パーマ剤の2剤塗布
- ロッドを外す
- プレーンリンス
- 後処理
- コンディショニング
- 仕上げ
上記のパーマと違うのは、カットとワインディングの方法です。髪の毛が根元から立ち上がるように、うまくパーマを仕上げてみましょう。
カット施術のポイント
ツンツンヘアにする時は、長めのショートレイヤーでカットしていきます。特に目立つ頭頂部付近は、気持ち短めにカットしておくと、髪の毛が立ちあがりやすくなるでしょう。もちろんお客様の希望に合わせてカットする必要があるので、切りすぎには要注意です。
ちなみにスライドカットを使うと、毛先が先細りした形になるため、よりツンツンしたイメージが引き立ちます。
ワインディング施術のポイント
柔らかい髪質の人は、カットだけではツンツンしたヘアスタイルには仕上げられません。そこでアップステムでボリュームが出やすいように、ワインディングをしていきましょう。
できるだけ太いロッドを使うと、根元から立ち上がるようになるので、セットが楽になるはずです。
短髪のパーマはワインディングの基礎ができれば怖くない
パーマを覚えたての頃は、特に短髪のパーマに対して、苦手意識を持っている人が多いでしょう。確かに難しいパーマのひとつですが、基本を覚えておくと慣れてしまいます。
- パーマの時の姿勢
- スライス
- ロッドとペーパーの扱い方
- 正しいゴムかけ
この4つは特にマスターしておくと、短髪のパーマで失敗しにくくなります。回数を重ねて、経験を増やす必要がありますが、何度も練習すれば見に付く技術です。誰でもできるようになるので、今のうちに習得しておきましょう。