ステキなヘアスタイルを作ってくれる美容師さん。その美容師技術に伴って、メイクも堪能であれば”鬼に金棒“と言えるのではないでしょうか。美容室に来るお客様の中には、「美容師さんはメイクもできるはず!」と期待して来店される方も少なくはありません。ですが、実際はメイクができない美容師さんは多いもの。
ここでは、美容師がメイク技術を身につけ、資格として活かせる方法をご紹介します。美容師になるための国家資格に加えてメイクの資格があれば、より信頼のおける美容師として認識してもらえるでしょう。
Last Updated:2021/3/9
美容師で「メイクもできる」人は意外に少ない?
美容師さんと言えば、着付けやセットも行える美容のプロという認識をされている方も多いでしょう。「美容室に行けば、髪だけじゃなくてメイクまでしてくれるはず!」と思っている人は少なくありません。
美容専門学校でヘアメイクの授業もあるので、「学習もしているんだしメイクできて当たり前」というのが一般的な意見かもしれません。しかし、“メイクを施せる”のと“メイクが得意”なのとではかなり差が出てしまいます。
もちろん、ヘアスタイルだけでなくメイクが得意な美容師さんもいますが、そうしたパーフェクトな美容師さんほど、カリスマと言われるような方々ばかりです。
一般的な美容室ならば、メイクまで要求されるような場面はそう多くないかもしれません。ですが、メニューが多く、高度な技術を要求されるような美容室に勤務している場合、メイク技術は必須となるでしょう。
美容師がメイク技術を要する場面は次のような場面です。
着付け
結婚式や成人式など、着物を着るシーンでは、着物のイメージに合わせたヘアスタイルやメイクが必要です。着物メイクは洋装メイクとは違うイメージで仕上げるのがコツですね。大型の美容室では、着付けメニューを用意していることも多いため、ヘアセットだけでなく、スピーディーにメイクまで仕上げられる美容師さんを求めています。
セットメニューを設けているケース
美容室によっては、ドレスアップ用のセットメニューを設けているケースもあります。好きなアーティストのコンサート前であったり、夏祭りやパーティー前などに予約するお客さんもいます。また、最近は国際交流も盛んですから、韓国風メイク、西洋風メイクなど、グローバルなメイクの要望もあります。
それだけ、美容室にも高度なメイク技術を求めている女性は多いのです。
また、美容師が高度なメイク技術を備えていれば以下のようなメリットが得られます。
- 働く美容室の幅が広がる(選択肢が増える)
- 指名してもらいやすくなる(顧客の信頼が得られるため)
- 美容室をオープンした時に、施術メニューが増え、近隣のライバル店と差別化できる
このように、美容師がメイク技術を得たり、向上させたりする事で、パーフェクトな美容師として活動できるのです。
メイクアップアーティストは“自称”でもやれる!?
メイクアップアーティストと聞くと、メイク関連の資格を総なめにし、キャリアを積んだ人というイメージをもつ人が多いでしょう。
美容師になるためには国家資格が必須となりますが、メイクアップアーティストになるための国家資格などは存在しません。ですから、美容師の中には自称メイクアップアーティストと言って活動している理美容者もいます。
もちろん、メイク技術に自信のない美容師がメイクアップアーティストと公言し、メイクをすれば、お客様からクレームを言われたり、リピートしてもらえなかったりするわけです。そのような結果にならないためにも、自分のメイク技術に見合わない肩書きを掲げてしまうのはタブーだと認識しておきましょう。
もちろん、美容師だけの道を突き進みたいから、メイクに関してはノータッチという理美容者もいます。ですが、これから益々発展するであろうファッション業界、理美容業界のことを考えれば、やはり美容師がメイクを極めることはプラスでしかありません。
「今までメイクに関してはスルーだった」「メイクはしていたが、民間資格取得や技術向上を目指したい」と考えている美容師さんは、ぜひこの機会にメイクに関して理解を深めてみてください。
メイク関係の資格習得方法と活かし方
「メイクアップアーティストと言う肩書きを活かして活躍したい!」「自信をもってメイクもできる美容師として活動したい!」という気持ちがあるのであれば、メイク関係の検定や資格などに注目してみましょう。
以下にあげるのは、国内で主に実施されている6種類の検定や試験です。ここでは、メイク関係の資格習得方法と活かし方をご紹介します。
JMA 日本メイクアップ技術検定試験
一般社団法人JMAが定めるメイクの基本を元に構成された検定内容です。主に、1級、2級、3級の三段階の検定で、メイクアップアーティストのようなプロを目指したり、メイク技術向上を目指す人のための検定内容と言えるでしょう。
1級~3級の各検定内容は以下の通りです。
1級
モデルの肌悩みや仕上がりの要望に合わせた技術をトータル的に提供します。
- 所要時間15分間のカウンセリングとスキンケア
- 所要時間30分間のベースメイクからフルメイク(モデルの要望をしっかり把握する)
2級
バランスに見合ったスキンケアから、フルメイク。
- 所要時間50分間のスキンケアからフルメイクまでを行う
3級
チーク、ハイライト、ローライト含むメイクアイテムを使用し、スキンケアからベースメイクまでを行う。
- 所要時間30分間でスキンケアかやベースメイクまでを完成させる
公式サイト:一般社団法人JMA 日本メイクアップ技術検定試験
JMA メイクアップアドバイザー検定
一般社団法人JMAが認定する検定です。10代~60代までの男女という幅広い人達が受験しています。合格率も90%とハードルも低いという傾向もあります(出題数は100問のマークシート式)。
- 試験の主な内容
- ・スキンケア
・メイクアップ
・顔分析
・色彩
・皮膚知識
などの基本問題が総合的に出題されます。認定されれば、以下のように幅広い自信がつくでしょう。
- お客様への顔分析を行い、メイクアップのアドバイスができる
- お客様へ、化粧品の正しい使用法などをアドバイスできる
- 肌トラブルなどの対処法を指導できる
JMAオンラインストアなどでも購入できる「日本メイクアップ技術検定試験公式テキスト3級・2級」から出題されるため、独学でも十分に合格が望めます。合格後のスキルアップを目指すならば、セルフメイク検定試験などを受験することも可能です。
公式サイト:メイクアップアドバイザー検定試験|一般社団法人JMA
IBF国際メイクアップアーティスト認定試験
IBF国際美容連盟が認定する試験です。国際的に共通するメイクについての知識や技術をトータル的に学び、基礎から応用までのメイクアップができることを証明できる画期的な認定資格と言えますね。
実際にこちらで認定された場合、メイク関連の職種に就きやすく、フリーのメイクアップアーティストとして活躍できる方も多いです。また、合格後はIBFの活動支援などを受けることができます。
受験資格はIBF国際美容連盟が指定するスクールのカリキュラムを終了している方が対象となり、独学では受験不可です。
※試験の際は、修了証のある方(受講スクールで発行してもらう)また、合格認定された場合、登録料として33,000円、年会費13,200円が必要となります。
公式サイト:IBF国際メイクアップアーティスト認定試験
MSOJメイクアップ検定
MSOJ(日本メイクアップ連盟)が定めるメイクアップ検定です。メイクアップアーティストとしての資質を高め、能力向上を求めるための資格内容です。検定は、3級、2級、1級、認定講師の順番で、メイクのスペシャリストとしで認定されていきます。
各検定級の内容は以下の通りです。
3級
メイクアップアーティストに必須である、基本知識や技術をもとに、同世代の女性へナチュラルメイクの修正などを行えるレベルとなります。
2級
メイクの基本知識や技術をもとに、応用的に同世代女性にメイク修正を行います。3級と比較すると、高度な部分修正や、印象変化が求められます。
1級
プロとして活躍することができる最大の場は、サロン、映像、ウェディングなどです。それらの各カテゴリーのメイク知識や技術にプラスし、接客マナーも含めた認定が可能です。こうした専門職に就きたいと考えているならば、1級の認定は必須ですね。
認定講師
3級~1級までの指導ができるスペシャリストです。
※各認定校で実施される認定試験の検定員として携わることも可能
公式サイト:メイクアップ検定|一般社団法人 日本メイクアップ連盟
日本化粧品検定
2019年より文部省が後援している信頼のおける検定です。現在では、美容関係企業の多くが導入しています。受験資格が特に設けられてはいないため、理美容関係者達は、1級~3級までの認定試験をレベルに合わせて受験します。また、飛び級受験や、1・2級併願も可能です。
各検定内容は以下のようなものです。
1級
化粧品の成分や原料を安全性も含めて理解する。例えば、美容師が使用したり、紹介したりするシリコンシャンプーやリンスなどについての知識を深めることも可能です。
2級
肌の仕組みや化粧品の構造知識を深める内容です。実際に、お客様の肌に見合うスキンケアやメイク品は、知識がなければ胸を張って紹介することはできません。理美容者がお客様にプロ意識を見せることで信頼が得られます。
3級
間違えやすい化粧品について知識を深める内容です。最近はスキンケア、メイクともに種類が豊富です。中には似たような容器やパッケージなのに、成分は全然違うというパターンもあるでしょう。間違えがちな化粧品は少なくはありません。お客様へ間違った商品をオススメしてしまえば、信頼を失うことになります。
公式サイト:検定・資格の取得の流れ|JCLA日本化粧品検定協会
メイクセラピー検定
ストレス社会の日本では、メイクで気分転換をすることもストレス緩和につながります。そこで注目されているのが、メイクセラピストです。メイクセラピストは、メイク技術習得だけでなく、心理カウンセリングも含めた上でトータルメイクを提案します。
メイクセラピストの主なメイク指導の特徴は、メイクと心理カウンセリングが並行して行われることです。メイクをすることによって気持ちを明るくしたり、前向きにしたりするスペシャリストです。そのため、美容関係だけでなく医療や福祉関係者からの支持も高いです。
理美容者であれば、お客様の気分転換となるオンオフのスイッチが入れ替えれるようなメイクアップを提案できると良いですね。
1級~3級の共通試験内容は以下のようなものです。
- 色彩関連知識
- メイクアップ技術関連知識
- 心理関連知識
- 人間関係・コミュニケーション知識
3級
マークシート式の筆記試験
2級・1級
筆記試験と実技試験が行われます
※クライアント役のモデルに対して、カウンセリングと並行しながらハーフメイクを行います。
公式サイト:メイクセラピー検定とは|一般社団法人メイクセラピストジャパン メイクセラピー検定事務局
美容師だからこそできるヘアメイクアップで顧客満足度も上げましょう!
国家資格をもっている美容師というだけでも、夢のある仕事ですね。ですが、それにメイク技術や知識が加われば、さらに多数のお客様から支持していただけるでしょう。理美容関係者達は、学生時代にもメイクに触れる機会はあります。ですが、それを極めるのはごく一部でしょう。