流行は一周すると言いますが、約10年前に流行ったウルフカットが女性の間で人気です。みなさんの美容室でもウルフカットのオーダーが増えているのではないでしょうか?
そこで今回は、ウルフカットを作る上でのポイントとカットしやすいシザーについてシェアしていきたいと思います。ウルフカットはボブスタイルと違い、展開図やカット理論がまとまってないと失敗しやすいので参考にしてみてくださいね。
ウルフカットとは
ウルフカットとはサイドよりも襟足が長い「縦長でスタイリッシュなフォルムのカット」です。どちらかと言うと、ここ10年くらいはボブスタイルが女性の中で人気でした。ボブスタイルが主流のときは、女性でウルフカットする人は少なかったと思います。
最近、ウルフカットが人気なのは「あいみょん」のような現在の若者に人気の女性芸能人の効果が大きいと思います。ボブが流行ったときも、元JUDY AND MARYのYUKIさんや木村カエラさんが火付け役になりました。このことを考えると、芸能人の影響って本当に大きいな、と感じます。
あと、当時に比べると女性が社会進出をして表現の自由度が高まり個性を大事にするようになったせいかもしれません。
ウルフカットとは、髪上部は丸みをつけたマッシュルームカット、下部にレイヤーを入れることで襟足部分を軽く仕上げる髪型を言います。この襟足部分のレイヤーの様子が狼の毛先に似ていることからこの髪型がウルフカットと呼ばれるようになりました。
今っぽさを出すアレンジ
ウルフカットで今っぽさを出すには
- 顔周りの作り
- カラー、スタイリング
が大事になってきます。
この2点をしっかり意識しないと10年くらい前に流行ったウルフカットと同じになるので注意が必要です。
顔周りの作り、カラー、スタイリングについてひとつずつ解説をしていきます。
ウルフカットの顔周りが大事
ウルフカットで顔周りを作るときは「顔周りの髪にレイヤーを入れる」か「真逆に姫カットみたいな感じに重ため」に作ったほうがいいです。軽めか重ためのどちらからに、ある程度振り切ったほうが今っぽい感じに仕上がります。ナチュラルな感じで作るとウルフカット特有の「攻めの感じ」がなくなるのでおすすめしません。
ウルフカットは、強さのあるヘアスタイルなので顔周りは振り切って作りましょう。
ウルフカットはカラーが大事
ウルフカットはカラーが非常に大事です。今っぽさを出すなら「地毛に近い暗めのカラー」か「透明感のあるカラー」がおすすめ。逆に10トーンくらいのナチュラル系のカラーは少し微妙です。
顔周りのカットのときにも説明をしましたが、ある程度攻めた感じに作ったほうがウルフカットの良さが光ります。
ウルフカットのスタイリング
ボブスタイルは髪を乾かすだけで、ある程度まとまってくれる手入れが簡単なヘアスタイルです。しかし、ウルフカットの場合はボブのように何もしなくてもいいヘアスタイルではありません。
ウルフカットを女性のお客様に提案する際は、スタイリング前提で話を進めていきましょう。そうしないと、せっかくウルフカットにしたのに良さが半減してしまいます。流さないトリートメントを使うよりもワックスなどで仕上げたほうが、動きが出るのでおすすめです。
ウルフカットの切り方とポイント
ウルフカットの顔周りは大事だということは説明していますが、もうひとつ大事なポイントがあります。それは、「襟足のくびれの作り」です。くびれを作ることで襟足が外ハネになってヘアスタイルにメリハリが生まれます。
ウルフカットで大事なくびれを作るには、カットの展開図を理解しておかないと難しいです。ゴールデンポイントにしっかりと丸みを作り襟足のくびれが強調されるように作るのがポイント!
さらに、ゴールデンポイントの丸みのウエイトの高さも高過ぎるとクラゲみたいなカットになるので注意が必要です。この襟足にくびれがなかったらウルフスタイルとして全く機能しないので、しっかりと作ってあげる必要があります。
より襟足の外ハネを強調する場合は、やり過ぎない程度に外ハネもパーマをかけてあげるのもいいでしょう。
ウルフカットにおすすめのシザー
ウルフカットを作る上で、おすすめのシザーを紹介します。1本あればカットの幅がグンッと広がるので参考にしてみてください。シザー選びのポイントも含めて紹介します。
シザー選びのポイント
シザー選びのポイントとして「ウェットカット、ドライカット、セニングカット」の3種類を揃えると良いです。現在では仕上げまで髪をウェットのままカットすることは少なくなってきています。なぜなら、ドライの状態にしないと本来の髪のクセや収まり方がわからないからです。
カットの手順としてウェットカットで全体的なベースカットをしたら、ドライカットで質感作りや量を減らします。そのため、ウェットカット用とドライカット用の2種類のシザーを使い分ける技術が必要です。
セニング選びのポイント
セニングは髪の量を減らすためのシザーで、髪を減らせる量が基本的に10%~50%まで選べます。とりあえず、持っておいたほうが良いのは10%と30%減らせるセニング。
セニングの10%は細かな量の調整ができるのがメリットで、デメリットは多く量を減らせないことです。逆にセニングの30%は、量を減らせるけど細かな調整ができないところ。
この2つがあれば互いのメリット、デメリットを補い合えるのでおすすめです。
ナルトのローヤルキングダム5.5インチです。多くの美容師、理容師に支持があり50年以上の歴史のある大手老舗メーカーのナルトのシザー。シザー自体は、ナルトの特徴でもある「ハマグリ刃」で滑らかな切れ味を感じることができる刃形状。
価格自体は他のシザーよりも高いですが、これ一本あればずっと使えるので決して高い買い物ではないです。ナルトシザーの価格が高いのに理由があります。それは、一つひとつ職人さんの手作りで製作しているので、機械と違い大量生産ではないからです。シザー選びで失敗したくない人は、ナルトシザーがおすすめ!
メーカー | ナルト |
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サイズ | 5.5インチ 全長:15.0cm 刃長:6.5cm |
価 格 | 美通販価格(詳細は商品ページでご確認ください。) |
商品番号 | 122526 |
ジョーウェルの4.5インチのシザーです。ジョーウェルは、徹底したモニタリングを繰り返し、顧客満足度を追求しているメーカー。
このシザーの最大のメリットは、4.5インチなので小回りが抜群に効くこと。ベースカットで使うとカットに時間がかかってしまうので、細かい質感作りで使用すると良いです。ヘアスタイルに味付けをする上でぴったりのシザーかもしれません。
料金もかなり安いのでスタイリストデビューを控えているアシスタントでも購入できます。
メーカー | ジョーウェル |
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サイズ | 4.6インチ 全長:11.6cm 刃長:4.6cm |
価 格 | 美通販価格(詳細は商品ページでご確認ください。) |
商品番号 | 116299 |
シザースワークスの7.0インチのシザーです。これまで紹介してきたシザーの中で最も大きいサイズのシザーになります。
このシザーの使用目的としては、ベースカットです。ミニシザーを使えば細かいカットができる反面、時間がどうしてもかかってしまいます。多くのスタイリストがカットの持ち時間が15分前後くらいのため、ミニシザーのみでのカットは難しいです。
7.0インチのシザーを使えばフォルムを作るベースカットが素早く終わるのでおすすめ。その分、細かい作業には向いていないのでミニシザーと組み合わせて使うといいでしょう。
サイズ | 全長19.0cm 刃の長さ9.5cm リング右:φ約2.2cm リング左:φ約2.1cm |
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素 材 | ステンレス合金鋼 |
形 状 | オフセット型コブなし |
刃 型 | 柳刃 |
重 さ | 61.4g |
サロン価格 | |
商品番号 | 118382 |
ウルフカットのようにヘアスタイルも日々進化している
今回のウルフカットについての内容をまとめていきます。
- ウルフカットは縦長なシルエットのヘアスタイル
- 顔周りの作りが大事
- ナチュラルなカラーはおすすめしない
- カットもカラーもメリハリをつける
- スタイリングありきでヘアスタイルを提案する
- 襟足のくびれ作りが大事
- シザーはウェット、ドライ、セニングの3種類が基本
以上のことを守りながらウルフカットを提案してみると良いかもしれません。
最後にウルフカットを女性に提案する場合は、カット後のヘアスタイルも含めて提案しておきましょう。
ウルフカットはトップをバッサリ切るので髪を伸ばすまでに時間がかかります。ヘアスタイルは、あくまで年間通しての提案が大事です。その辺をしっかり押さえると再来率のアップにもつながるので意識してみてください。