美容室の電気代は平均いくら? 相場より安くする5つの節約方法

近年、電気代の高騰が社会問題になっています。
電気は美容室を営業する上でも欠かせないため、少しでも支出を減らすためにも見直す必要があります。それにはまず、電気料金の明細表を確認することから始めましょう。
さらに今使っている電気機器もチェックしておくと、見えてくるものがあるはずです。

美容室で電気代が発生するもの


美容室の経営者であれば、ここ数年、毎月のように電気代が高くなっていることに気付いているはずです。しかし、電気は必要なものだからしょうがないとあきらめていませんか?

電気料金の値上げについては個人ではどうにもできませんが、毎月の電気代を抑えるためにできる方法はいくつかあります。それにはまず、設備の中で何がいちばん電力を消費しているのかを把握しておく必要があります。

そこで、一般的な美容室で電気代がかかる割合が高いものをまとめてみました。
電気代が気になっている人は、参考にしてみてください。

照明

営業時間中、常に使用しなければいけないものの1つが照明です。
特に美容室の照明は法令によって明るさが指定されており、守る必要があります。

【引用】
(採光、照明及び換気の実施基準)
第二十七条 法第十三条第三号に規定する採光、照明及び換気の実施の基準は、次のとおりとする。
一 採光及び照明 美容師が美容のための直接の作業を行う場合の作業面の照度を百ルクス以上とすること。
※引用:美容師法施行規則 | e-Gov法令検索より

美容師は刃物を使う仕事であり、手元が暗いと何かの拍子にお客様を傷つけてしまうおそれがあります。また照明が暗いと、髪をきれいに整えられているかの確認が難しいだけでなく、ヘアカラーの色なども正しく認識できなくなってしまいます。

法令で定められているとおり、作業する場所は最低でも100ルクスの明るさが必要です。しかし100ルクスの明るさは、一般に「街灯の下あたりの明るさ」と例えられており、施術をする上で十分とは言えないこともあります。そのため実際の店舗では、これ以上の明るさで設定しているケースが多いようです。

ドライヤー

ドライヤーも、美容室を営業する上で欠かせない電気機器です。
お客様の髪を洗った後、濡れた髪を乾かす必要があるからです。

ドライヤーはそこまで長い時間使うものではないので、電気代まで気にしている人は少ないかもしれません。とはいえ、美容室で使うドライヤーは業務用のため消費電力が1,200W前後あり、これを1人10分程度使用したとしても1日当たりで考えれば、それなりの電力が消費されています。

空調(エアコン)

エアコンは、一般家庭でも月の電気代の大半を占める家電のひとつです。
もちろん美容室でも同様で、むしろ年間を通じて営業時間中は常時稼働する必要があることを考慮すると、一般家庭よりもはるかに電気代がかかるのは明らかです。

特に夏や冬など気温が極端になる時期は、よりお客様に快適に過ごしてもらうために強めに設定することが多く、ほかの季節より電気代が高くなる傾向があります。

加湿器

美容室に加湿器を設置するのは、乾燥させないようにするという目的もありますが、適度な湿度を維持することで、乾燥から髪の毛を守り、髪の状態をきれいにキープするためにも大事な設備だと言えます。

とはいえ、加湿器は消費電力がそこまで高くありません。それでも広い美容室であればパワーもそれなりに必要になるので、電気代を意識する必要があると考えておきましょう。

美容室の電気代の平均相場


美容室の一般的な1ヵ月の電気代の相場は、4~5万円ほどとされており、その内訳の目安は以下のとおりです。

・空調(エアコン):約35,000円
・照明:約3,500円
・ドライヤー:約3,500円
・冷蔵庫:約1,000円
・加湿器:約1,000円

もちろん店舗の広さや立地条件、営業時間の長さなどによって金額は異なりますが、少なくとも電気代における電力消費が多い設備について知ることができると思います。

やはり圧倒的にエアコンに電気代がかかるので、これをどうすれば減らすことができるのかについて最初に検討するのが、現実的と言えるかもしれません。

美容室の電気代を節約する5つの方法


美容室を経営していく上で、固定費である電気代をいかに節約するかが大事なことはおわかりいただけたと思います。
もちろん必要以上に電気代を節約すると、お客様に迷惑がかかるだけでなく、そこで働く美容師にもストレスがかかるでしょう。

そんな失敗をしないためにも、おすすめの5つの節約方法を提案します。
これらを実践すれば、大幅な節約とはならないにしても、少なくとも毎月の電力消費量削減につながるはずです。

1.電気機器できるだけ新しいものを取り入れる

当然ですが、電気機器を使わなければその分の電気代はかかりません。しかし実際問題として、それは不可能だと言えるでしょう。
もし今使用している電気機器が何年も前に購入した古いタイプの場合、それが原因で電気代が高くなっているかもしれません。

フィルターなどのこまめな掃除や定期点検によりある程度の節電効果は期待できます。
しかし最近の電気製品の中には節電機能が充実しているものも多く、少ない消費電力で今まで以上の性能を発揮するタイプもあります。実際、環境庁のホームページの「デコ活アクション」には、節電タイプに切り替えただけで年間約2万円弱節電できることもあると書かれています。

確かに電気製品の入れ替えは、一時的とは言え大きな出費です。しかし長期的に見れば、大きな節約につながることが考えられます。
まずは、電力消費が多い電気製品から検討してみてはいかがでしょうか。その結果を見て、順次交換していくのもいいかもしれません。

2.電力会社を見直す

2016年から、電力の自由化が始まりました。
そのため、自由に電力会社を選べるようになり、うまく活用すれば電気代を節約できる可能性があります。

チェックするべきポイントは、プラン内の詳細に書いてある「1kWhあたりいくらなのか」という部分になります。
今使っている電力会社の明細に書かれているのでチェックしてみてください。
それを基準に計算して比較検討すれば、どの会社を利用すればいいのかおのずと見えてくるはずです。

電気代の計算方法は、以下のとおりです。

【引用】
基本料金+(1kWh当たりの料金+燃料費調整単価)×1か月の使用量 +再生可能エネルギー発電促進賦課金単価×1か月の使用量 -口座振替割引等
※引用:政府広報オンラインより

また、同じ電力会社の中でプランを見直してみるのもいいかもしれません。
現在は燃料費の高騰などの影響もあり、電力会社もさまざまな変更を行なっています。

また、実際に使用している電力量以上の契約をしていることも考えられます。そのため今使っている電気代のプランが合っているか確認して変更するだけでも、節約になるかもしれません。
従量電灯や低圧電力など、どのプランが適切なのかチェックしてみてください。

3.照明をLEDにする

蛍光灯からLEDに替えるだけでも、電気代節約には効果的です。
令和5年10月に資源エネルギー庁の資料によると、約50%もの電気代削減が実現できるとされています。これは沖縄のオフィスビルの例ですが、LEDにするだけで電気代が削減できることはおわかりいただけると思います。

1ヵ月に占める電気代のうち、照明にかかる電気代はエアコンと比べるとわずかです。それでも開店中は常に使用するものなので、長期で考えればまとまった金額になります。

LEDは蛍光灯よりも高価である一方、寿命ははるかに長いので、結果的にはお得だと言えます。まだ蛍光灯を使用しているようであれば、早速LEDに付け替えてみてください。

4.照明の明るさを場所ごとに変える

照明をLEDに替えるだけでなく、場所によっての使い分けまで考えると、さらに電気代の節約が期待できます。

例えばシャンプーをする場所は、そこまで明るくする必要はありません。またトイレなども照度を抑えることができます。

このほか、LEDには調光機能が備わったタイプもあるので、営業時間帯によって照度を変えれば、節電に加えて店内の雰囲気を高める効果もあるのでおすすめです。その際、法令で定められている基準を下回らないように注意してください。

5.営業時間外の照明の使い方を見直す

照明の節約方法は、まだまだあります。
営業時間外になったら、使わない場所の照明を早めにオフにするようにしましょう。
照明の扱い方はスタッフ同士が共有しておく必要がありますが、やり方としてはシンプルな節電方法です。

例えば、照明のスイッチ付近にメモ書きを貼り付けておくだけでOKです。照明をオフにする場所や時間を明記しておけば、気付いたスタッフが操作してくれるでしょう。

さらにわかりやすくするなら、オフにしたいスイッチ付近に、シールで色分けするという方法もあります。
どこのスイッチを切るべきなのかが一目でわかれば、ストレスなく節約してもらえます。

美容室の電気代を安くしたいなら電気機器と電力会社をチェック!


美容室というのは、電気代をかなり使う業種のひとつです。
だからこそ電気代の見直しは、営業利益を伸ばす上でも大事になります。

特に古い電気機器を使っている場合は、最新型に変えるだけでも電気代を節約できるでしょう。
また電力会社やプランの変更も効果的です。

このように、工夫次第で節約する方法はさまざまあるので、まず電気代が高い原因を知り、それに合わせた対策を見つけてみてください。

 

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メガネセキ美容室オーナー、ライター、元美容師

投稿者の過去記事

美容師として8年以上勤務。薬剤で手荒れがひどくなり、美容師を辞めて現在はWebライター。
地元で美容室を経営しつつ、Webの知識で集客も行っています。

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