「実は就業規則を作っていません…」
このように、美容室をオープンする際に、必要な就業規則を作成していない人は多いです。
実際に私の友人も、オープンして2年後に就業規則を作っていました。
そこで今回は【美容室に就業規則は必要? 独立した美容師必見! 就業規則の作り方を詳しく解説】というテーマでシェアします。
これから美容室をオープン予定の方は参考にしてみてください。
独立して美容室開業したら就業規則は作るべき
美容室を独立する際、新しい店がオープンするまで時間が確保できます。
美容室の就業規則は、そのときに作成するのがおすすめ。
ここでは就業規則の必要性に関して説明をしていきます。
美容室の就業規則の必要性
就業規則とは、学校で例えると校則のようなものです。
校則があることで円滑な学校生活が送れるように、就業規則があるとスタッフも働きやすくなります。
就業規則を事前に決めておくと、会社で起こりがちな【聞いた、聞いてない】みたいな問題を未然に防ぐことが可能です。
就業規則には以下のような内容を記載する必要があります。
- 労働時間
- 福利厚生
- 休憩時間
- 残業の規定や残業代
一人だけの美容室なら就業規則がなくても、オーナーである本人が意識しておけば問題ありません。
しかし、スタッフを雇用していたら就業規則は必須!
なぜなら、美容室でトラブルや雇用に関する問題が起きたときの指針になるからです。
現在一人の美容室でも、これからスタッフを雇用する予定の方は就業規則を作成しておきましょう。
スタッフを雇った後に就業規則を作ると、内容に関して不満が出るおそれがあります。
美容室の就業規則を作るのが苦手な人は、社労士(社会保険労務士)に相談してみると良いです。
就業規則の作成が義務となる条件
美容室の就業規則が義務付けになるのは、10人以上のスタッフを雇った際です。
10人以上と言っても、ほとんどの美容室が数人雇った時点で就業規則を作成していると思います。
万が一就業規則を作成してなかったら、今すぐに作るようにしてください。
ルールのない組織は、バラバラになりやすいです。
一度チームがまとまらなくなると、正常に戻すのが大変になります。
就業規則があると、そのような問題を未然に防ぐことが可能です。
なお美容室の就業規則は、作成後に労働基準監督署に届け出る必要があります。また内容に変更があったときも、改めて申請する必要があります。
美容室の就業規則がスタッフ10人未満でも必要になるケース
先ほど、スタッフを10人以上雇用する際は就業規則が義務付けられると説明しました。
しかしスタッフが10人未満でも、就業規則が義務付けられるケースがあります。
それが助成金を申請する場合です。
スタッフが10人未満だけど助成金を申請するために、慌てて就業規則を作るオーナーさんがいます。
急遽、就業規則を作るのはおすすめしません。
なぜなら、以下のよう2つの問題が考えられるからです。
- 精度の低い就業規則になりやすい
- スタッフとの信頼関係が落ちる
読者のあなたが美容室のスタッフだとして、いきなり「この就業規則を守ってください」と言われたら戸惑いませんか?
また、急いで作成した就業規則には穴がある場合が多いです。
このようなことがないように、美容室の就業規則はスタッフが10人未満でも作成しておくようにしましょう。
美容室の就業規則の作り方
就業規則は、「労働基準法第89条」に定められている内容がベースになります。
ここでは、正しい就業規則の作り方について説明していきます。
就業規則に必ず書かなければいけないこと
就業規則には、絶対的必要記載事項と言って、必ず記載しなければいけない内容があります。
それがこの3つです。
- 労働時間(始業・就業時間、休憩、休日など)
- 賃金(給与、給与の計算方法、昇給するための規定)
- 退職(退職金、解雇理由)
これらの内容は、スタッフが美容室を選ぶ際にも必ず知りたい内容です。
この3つの項目を記載していないと就業規則は成立しません。
美容室の就業規則を作成する際は、必ず記載しましょう。
労働時間の定め方
絶対的必要記載事項である、労働時間の定め方について説明します。
基本は以下の労働時間が目安です。
- 1日に8時間以上の労働時間はNG(休憩時間は除く)
- 1週間で40時間以上の労働時間はNG(休憩時間は除く)
美容室の中には、この労働時間を守れていない美容室も存在するかもしれません。
1日8時間という労働時間は、国が定めたものです。
休憩時間などを上手く使い、労働時間内に勤務が終わるようにしましょう。
また、特例などで1週間の労働時間が44時間までOKの場合もあります。
詳しくは、労働基準法32条に記載してあるのでチェック!
賃金の設定の仕方
賃金は、美容室を決める上で重要な項目の1つ。
基本的に賃金は、地域ごとの最低賃金を下回ってはダメです。
さらに基本給とは別に、手当などの計算方法も明らかにしないといけません。
美容室によっては、皆勤手当など、基本給以外の手当があると思います。
スタッフのモチベーションに反映するような給与体系が望ましいです。
就業規則の労働時間と賃金について起こりやすい問題
美容室の就業規則で最も問題になりやすい部分があります。
それは【営業後の練習時間は、残業に含まれるか?】です。
私たち美容師は、勤務時間と練習時間が分けられています。
多くの美容室が、営業前や後に練習をしています。
この点を就業規則で明確にしておかなければなりません。
実際に、スタッフから練習時間を残業と主張され、請求されるトラブルが多発しています。
少し前の美容室オーナーさんだと、「練習時間は残業に含まれるわけない」と勝手に思っている場合が多いです。
思っていても就業規則に記載していないと意味がありません。
美容室を運営していく上で、営業時間と練習時間の線引きは重要になってきます。
必ず記載するようにしましょう。
事業所内ルールについて
絶対的必要記載事項の次は、相対的必要記載事項を作っていきましょう。
相対的必要記載事項は、必ず作成する必要はありません。
しかし、より良い美容室を運営していくためには必要です。
相対的必要記載事項は、このようなものが挙げられます。
- 退職金
- 労働者の食事、作業用品の負担
- 安全及び衛生
- 災害補償や業務外のケガの扶助
- 休職
- 表彰
各美容室によって労働環境が違うので、相対的必要記載事項の内容も千差万別です。
例えば、以下の美容室を比較してみてください。
■スタイリストとアシスタントがいる一般的な美容室
■スタッフの全員がパートの美容室
この2つでは労働環境も変わってきます。
それぞれの美容室に合った、相対的必要記載事項を作らなければいけません。
就業規則作成後
美容室の就業規則を作成したら申請をしましょう。
ただ、美容室に飾っておくだけではいけません。
たまに、就業規則を作成したのに申請をしていないオーナーさんがいます。
申請までして初めて就業規則の完成です。
労働基準監督署への届け出が必要
労働基準監督署は、都道府県労働局長の指揮監督を受けて、労働基準法の実施業務を担当しています。
労災保険の給付なども労働基準監督署の役割です。
略称として労基署、労基、監督署などとも呼ばれています。
美容室の就業規則の提出には2つの方法があります。
- 労働基準監督署の窓口に提出
- 郵送で労働基準監督署に提出
就業規則の提出後に、意見聴取をされる場合があります。
その際に応答しなかったり手続きの違反があったりすると、30万円以下の罰金が発生する可能性があるため注意してください。
スタッフがいつでも確認できるようにする
美容室の就業規則は、スタッフが確認できるようにしておきましょう。
実際に、「労働基準法第106条」でも以下のよう記載してあります。
「使用者はこの法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則(中略)を常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備付けること、書面を交付することそのほかの厚生労働省令で定める方法によって労働者に周知させなければならない」
私の時代(2010年頃)は、ファイルに挟んで美容室からもらいました。
今の時代を考えると、PDFファイルとしてデータで渡すのも良いかもしれません。
就業規則は、見たいときに見られる環境が大事です。
スタッフへの渡し方はそれぞれあるので、ベストな方法を選んでください。
美容室の就業規則は独立しようと思ったら作成しよう!
今回のテーマ【美容室に就業規則は必要? 独立した美容師必見! 就業規則の作り方を詳しく解説】についてまとめていきます。
・就業規則は、労働基準監督署へ申請しないといけない
・スタッフを雇う前から就業規則は作っておくと良い
・就業規則は、10人以上のスタッフを雇用する場合は必須
・スタッフが10人未満でも、助成金を申請するときに就業規則は必要
・就業規則には、絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項の2つがある
昔の美容室は、就業規則なんてあってなかったようなものです。
しかしこれからの時代は、美容室の就業規則が必要になってきます。
美容室の労働環境が良くなるように、スタッフとオーナーの双方に取って良い就業規則を作ってみてください。
この内容が少しでも参考になれば嬉しいです。
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