コロナ影響で日本政策金融公庫に融資を申し入れをされた方、申し込みを検討している方も多いのではないでしょうか。これから開業・独立を考えている方にとって日本政策金融公庫はお世話になる可能性が高い金融機関です。そこで今回は、日本政策金融公庫から融資をうけるコツや返済期間、申し込み方法について解説します。
日本政策金融公庫とは
日本政策金融公庫とは国が経営している金融機関のことです。
事業者が銀行から融資をうけようとして借りることができなかった場合ってありますよね。そういう事業者のために、銀行がダメでも融資してくれる可能性のある金融機関が日本政策金融公庫です。
さらに、銀行などは民間が経営しているため倒産する場合もあります。銀行と違い日本政策金融公庫は国が経営しており、税金の投入も行われるので倒産する可能性もほとんどありません。
日本政策金融公庫の事業内容
日本政策金融公庫には、「中小企業事業」「国民生活事業」「農林水産事業」の3つ窓口があります。この中から事業者が融資をうけるために該当する窓口で手続きを行わなければなりません。
美容室や理容室のような事業の場合は、「国民生活事業」が担当窓口になる場合がほとんどだと思います。もし、事業自体が大きく年商が5億以上の方は「中小企業事業」の窓口に相談も可能です。初めて日本政策金融公庫を利用する場合は一度、電話確認をしてから訪れると窓口を教えてもらえる良いかもしれません。
ちなみに、「農林水産事業」はその名の通り農家や漁業などが対象の窓口です。
返済期間や利率は?
日本政策金融公庫の国民生活事業で融資をうけた場合の返済期間や利率について調べてみました。開業するための一般貸付は以下のようです。
利率 | 2.16~2.55%(担保不要の場合) 1.21~2.20%(担保ありの場合) |
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返済期間 | 設備資金10年以内(据置期間は2年以内) 特定設備資金20年以内(据置期間2年以内) 運転資金7年以内(据置期間1年以内) |
据置期間とは、金利がかからない期間のことを表します。融資をうけたばかりの事業所がすぐに売上が上がることは難しいです。そのため日本政策金融公庫が設けている「融資をうけて軌道に乗るまでの期間は金利はいりませんよ」という猶予期間のようなものです。
その他に詳細を知りたい方は日本政策金融公庫のHPをご覧ください。
申し込み・手続き方法
日本政策金融公庫で融資をうけるには、「相談と申し込み→面談→審査→融資開始」このような感じに工程を踏まなければなりません。
初めて日本政策金融公庫の融資をうけて開業する際に必要な資料はこちらです。
- 創業計画書
- 企業概要書(創業計画書がある場合は不要です)
- 法人の履歴事項全部証明書または登記謄本
実際に面談や審査で返済能力の有無なども問われます。
サロン開業時にどのくらいの金額が必要になる?
BIGLOBEが運営している「ハンジョー」 というサイト調べによると美容室を開業するには平均940万円必要だということがわかりました。
さらに、資金調達をする上での自己資金の平均は、開業費用の940万円の約4分の1である268万円でした。つまり自己資金で268万円貯めることができれば、開業するまでの資金を日本政策金融公庫などから融資をうけることが可能だということです。
ここから開業をする際の費用の内訳を紹介します。少しでも費用を抑えたい方は参考にしてみてください。
内外装工事
美容室を開業する上で最もかかる費用です。全体の費用の約50%かかります。
美容師という職業柄、ついつい内外装はこだわってしまう方が多いのではないでしょうか。最近ではコンクリ打ちっ放しのような内装のお店も多いので、費用を抑えるならシンプルにするのも良いかもしれません。
機材や備品
機材や備品はシャンプー台や鏡など美容師をする上で必要なものになります。かかる費用としては、全体の約20%です。
やはり、シャンプー台が一番費用がかかるので何台置くかが肝になってきます。1人で美容室でするならシャンプー台は1台で十分かもしれません。ただ、スタッフを雇うとなるとシャンプー台が1台では足りなくなるので難しいところです。これからの展望も踏まえて用意する必要があります。
運転資金
美容室を開業してからの運転資金です。費用としては、全体の16%ほどかかります。
美容室をオープンしたばかりだと、お客様の来店もあまり見込めない可能性もあります。そもそも美容室は飲食店と違い、来店サイクルがどんなに早くてもひと月に1回です。そのため運転資金がある程度ないと、お客様がリピートするまでの資金がなくなってしまいます。
運転資金に関しては内外装や機材の費用を抑えて、その分を運転資金に回すのもいいでしょう。
テナント賃貸費用
これは全体の11%の費用がかかります。テナントに関しても、借りる箱の大きさで比率は変わります。開業した後にスタッフを雇っていくのかどうかでも費用が変わってくる可能性が高いです。
日本政策金融公庫から融資をうけるコツ
日本政策金融公庫は誰でも融資をしてくれるわけではありません。ちゃんと融資をうけるには、いくつかのコツがあります。そこで、融資をうけづらい人と、うけやすい人の比較をしていくので参考にしてみてください。
日本政策金融公庫から融資をうけづらい人の5つ特徴
日本政策金融公庫から融資をうけづらい人は以下の感じです。
クレジットカードのブラックリスト
返済の遅延や踏み倒すようなことをしていると当然、融資の審査が難しくなります。万が一、融資をうけられても、かなり減額した状態になる場合が多いです。
税金の未納や滞納
会社員をしていて開業と同時に事業者になる人は、会社が支払っているので問題ありません。意外と事業をしている人に多いのが、税金の未納や滞納です。
家賃、水道光熱費の未納や滞納
日本政策金融公庫は、家賃や水道光熱費を滞納する人が融資を申し出ても「返納してくれない」と判断します。
自己資金がない人
自己資金に関しては、数百万円必要というわけではありません。通帳に毎月、入金があるか、貯金があるかなどの信用の問題です。見せ金をするために知人から一時的にお金を借りるなどしてもダメですので注意しましょう。
面接態度が悪い人
日本政策金融公庫の担当者と融資の面接をする際に、横柄な態度をしてはダメです。融資をする側からすると「ちゃんと返納できるか?」を確認をするために厳しい質問もしなければなりません。そこで、イラついて怒ってしまっては話がまとまらないので、大人の対応を心がけましょう。
日本政策金融公庫から融資をうけやすい人の特徴
ここまで説明したら理解している方も多いと思いますが、上記の5つを守っていれば融資をうけられる可能性は高いです。
あと「個人と法人では、法人のほうが融資をうけやすいの?」という質問があります。これに関しては、法人だからといって融資をうけやすいわけではありません。あくまで事業計画と返納の見通しがついてるかが鍵になってきます。個人で開業される人も問題ないので安心してください。
日本政策金融公庫で融資をうけるには信用が大事
日本政策金融公庫に関する内容をまとめていきます。
- 日本政策金融公庫は国が運営しているため倒産の心配は少ない
- 美容室は日本政策金融公庫の国民生活事業窓口に相談をする
- 美容室を開業するには約940万円かかる
- 美容室の内外装費のコストが約半分かかる
- 返済の利率は担保の有無で変わる
- 融資をうけるにはクレカ、税金、水道光熱費の支払いが滞っていてはダメ
- 自己資産が必要で面接態度も大事
- 個人と法人で融資のうけやすさは変わらない
以上の点を守って融資をうけに行ってみてはどうでしょうか。
日本政策金融公庫で融資をうけるには、信用が一番大事だと感じます。もし、読者のみなさんが誰かにお金を貸すことになった場合、いい加減な人には貸せないですよね?