コンビニよりも店舗が多いと言われている今の美容業界。この状況を勝ち抜くためには、さまざまな対策が必要です。しかしもし閉店という道を選ぶことになった場合、しなければいけないことが山ほどあります。この記事では、美容室が閉店する理由や長く続けるためのヒント、そして閉店する際の手続きなどについて紹介しています。ぜひ参考にしてください。
美容室の閉店率は90%以上?
外を歩いていると、たくさんの美容室があることに気付くはずです。それだけ、今は新しい美容室が増えていることになります。
しかし、その多くは開業して3年以内に閉店しまうというデータがあり、驚くことにその割合は90%にもおよびます。
それではなぜ、3年もしないうちに閉店してしまうのでしょうか?
美容室が閉店に追い込まれる理由
美容室が閉店するのには理由があります。
もともと人との付き合いが重要視される職種なだけに、閉店に追い込まれるほど売上が下がる要因はたくさんあると思っておきましょう。
それだけ、美容室の経営は思っているほど簡単ではない、ということになります。
集客対策ができていなかった
美容室の経営には失客がつきものです。
来店するお客様の数が減っているのに、新規のお客様を獲得できなければ、最終的にゼロに近づいてしまうのは誰でもわかるでしょう。
だからこそ、集客対策がきちんとできていないと、いずれは閉店する事態に陥ってしまう可能性があります。
集客方法はターゲットとするお客様の層によって違うので、新規顧客が少ない時こそ、やり方を見直してみてください。
事業計画が甘かった
3年という短期間で90%の美容室が閉店するのは、明らかに事業計画が甘かったと言えます。
計画どおりに営業できなかったとなると、何が原因で売上が下がっているのかもわかりません。
つまり、はじめにしっかり事業計画を立て、その目標を確実に達成していかないと、短期間で閉店しまうリスクが高くなるわけです。
従業員が定着しない
美容室を経営していく上で、お客様が大切なのはもちろんですが、従業員との関係もしっかり築いておかなければなりません。
従業員1人が相手にできるお客様の数は限られています。そのため、一定数の顧客をこなすためには、それなりの数の従業員が必要になります。
しかし、もし1人美容師が辞めたとすると、その分の売上が下がることになります。
お客様からしてみても、今まで指名していた美容師がいなくなれば、そのまま通い続ける可能性も低くなります。
つまり、従業員が辞めないような良好な関係や待遇も、美容室の経営を続けるための大切な条件だということです。
資金の使い方を誤った
美容室というのは概してオーナーのこだわりが強く、自分のテイストに合った店舗にしようと内装や外装に資金を回そうとするケースは少なくありません。
ところがその使い方が極端だと、しばらくして当初用意していた資金がショートしてしまうリスクが高まります。
美容室での経費の多くは、人件費です。低い給料はスタッフのチベーション低下につながり、お客様への接客にも影響が出ることがあります。すると結果的に、売上減という事態を招くこともあるでしょう。
給料や家賃、シャンプーなどの材料費といった毎月の固定費はきちんと確保し、光熱費など節約できる出費はできる限り抑えるなどして、計画的に資金を使うようにしてください。
経営について勉強不足だった
美容室は、特に経営者としての勉強をせず、美容師の経験しかない人でもオーナーになれます。
例えば、人気美容師が独立して美容室を開店した場合、自分の固定客と知名度、技術力だけでお客様が集まると甘く考えがちです。しかしそれでは、多くの場合で経営がうまくいかず、すぐに閉店してしまうかもしれません。
もし美容室を経営するのであれば、事前に経営について勉強し、何らかのトラブルが起こった際にうまく回避できるようにしておくことが、長く続けていく上で大切です。
閉店させないために経営者がすべきこと
美容室を経営するのであれば、経営者としての視点を持ち合わせておきましょう。なぜなら、経営と美容師では、立場も責任も違うからです。
経営者は何をするべきか知りたい人は、以下を参考にしてみてください。
経営の知識を身につける
当たり前のことですが、美容師の技術力と経営者の知識はまったく違うものだと思っておきましょう。
有名なお店で仕事をしていたからといって、経営がうまくいくとは限りません。経営の勉強をしておかないと、ほとんどの場合、開業した後に苦労することになります。
少なくとも収支管理、マーケティングや税金のことなど、幅広い知識を身に付けておくようにしてください。
本だけでなく、経営セミナーなどに参加するのもいいでしょう。
美容室のコンセプトを決める
現在では、美容室の数はコンビニより多いとされており、それだけ競争が激しい業界だと言えます。
だからこそ、この業界で生き抜いていくためには、美容室のコンセプトを決めてほかと差別化を図ることも大事です。
お客様の具体的なターゲット層を決めるだけでなく、それに合わせた美容室の仕組みづくりなど、細かく美容室の中身を作り込むようにしてください。
そこまでできると、経営者として次の一歩が見えてくるはずです。
技術力や接客力を磨く
技術力と接客力は美容室を経営する上での最低必要条件です。
どんなに他店とは違うコンセプトだったとしても、技術力がないとお客様はついてきてくれません。
また接客力がないと、お客様からの印象も悪くなり、リピートに繋がらない可能性すらあります。
逆に、この2つがしっかりしている美容室は、末永い経営につながると言えます。
例え成功して人気の店になったとしても、それに甘んじることなく、技術と接客のレベルを落とさないようにすることが大切です。
顧客満足度を上げる方法を考える
美容室を閉店させないためには、失客させないための努力が必須です。
そのためには、少なくとも顧客満足度を上げないといけません。
顧客満足度といってもお客様によって感じ方が違うので、実際に個々に合わせるのは難しいと言えます。しかし美容室全体としてできることがあります。
ターゲットがしっかりしているお店であれば、それぞれのお客様に共通している点もあるので、何を重要視すれば満足度が上がるのかを見極め、自分のお店ならではの強みを見つけてみましょう。
経営継続が難しければ撤退の判断も必要
仮に3000万円の借金をして経営をしていた場合、20年ローンで利息を含めると、単純計算で毎月15万円ほどの返済が必要です。
加えてスタッフの給料や家賃、材料費など固定費や、光熱費なども必要になってくるので、それに見合わない利益が出ない場合は赤字が膨らむことになります。
どんなに改善しても、この先、美容室の運営を続けるのが難しいと判断したら、閉店という決断を視野に含めることも大切です。「せっかくオープンした念願の店だから」という考えだけでは何の解決にもなりませんし、無理に経営を続けると負債もその分増え続けることになりかねません。
そうなる前に、戦略的に閉店できれば、結果的に経営者にとっては負担が少なくなります。また、将来的に再スタートができる可能性も出て来るかもしれません。
美容室が閉店する際の手続き・やること
美容室を閉店することが決定となれば、やるべき手続きや設備・備品の処分など、しなければいけないことがたくさんあります。
以下に必要なことをまとめましたので、知識として覚えておくと役に立つかもしれません。
賃貸の解約手続き
美容室を賃貸で契約している場合、解約の手続きが必要です。
建物のオーナーに対して、「解約通知書」を提出する必要があるので、忘れずに作成しておきましょう。
解約予告期間といって、貸主側に解約を申告しなければいけない期間があり、店舗の場合は通常3~6ヵ月前になります。
期間を守らないと違約金が発生する可能性がありますが、難しい場合はオーナーと相談してみてください。
状況によっては、期間を考慮してもらえる可能性もあります。
電気・水道・ガスなどの解約手続き
店舗を借りて美容室を営業している場合では、電気や水道、ガスなども解約します。
各会社に連絡をし、必要な手続きやタイミングについても確認しましょう。
このほか、シャンプーなどの商材の仕入れ先にも閉店の連絡し、取引の中止を伝えるようにしてください。
シャンプー台や椅子などの処分
美容室には、シャンプー台や椅子、鏡など大きな設備がたくさんあります。そのため、これらの処分方法も検討する必要があります。
単純に廃棄だけなら、地域の産業廃棄物業者に依頼すれば大丈夫です。
もし、買い取りしてもらうのであれば、専用の業者に連絡して、どの設備を買い取ってもらえるのか確認してください。
設備の年式や使用年数、形式などによっては受け付けてもらえないこともあります。
またその際、複数の業者に連絡をし、買取価格を比較して少しでも高い値段で買い取ってもらえる会社に依頼するといいでしょう。
従業員への解雇通知
もっとも重要な手続きの1つが、従業員への解雇通知です。
一般に、解雇予告期間は解雇日の30日前です。
それよりも遅く通知した場合、「日数×平均賃金」の解雇予告手当を支払うことになります。
平均賃金とは、「直近の3ヵ月に支払われた賃金の総額 ÷ その3ヵ月の日数」です。
従業員が次の働き先を探す期間も考え、できるだけ早く伝えるようにしましょう。
またトラブルを避けるためにも、解雇通知予告は口頭ではなく文書で渡すようにしてください。
お客様へのお知らせ
美容室を利用していたお客様に対しても、閉店することを伝えておきましょう。
その際、郵送で通知すると、今までの感謝の気持ちが伝わります。
住所がわからない場合は、メールや電話、LINEといった方法で伝えても問題ありません。
また閉店が決まった時点で、貼り紙をしておくといいでしょう。
お客様に迷惑をかけないためにも、最低でも1~2ヵ月前にお知らせするのが理想的です。
美容室を長く続けるには、経営者としての決断が大切!
ますます競争が激しくなる美容業界。いつあなたの美容室が閉店に追い込まれるかわかりません。
そうならないためにも、改善できる部分は改善し、しばらく状況を見てみましょう。
それでも経営を継続するのが難しいと判断した場合は、早めに閉店を決心することも大切です。
仮に残念な決断をしなければいけなくなった時のために、今回の記事で紹介した一連の流れを知識として頭に入れておくと慌てずに済むかもしれません。
美通販.comで
あなたも仕入れ価格でお買い物
美通販.comは美容機器から美容用品、サロンで扱う商品はもちろん、食品から便利品までなんでも揃う通販サイト。お客様の多くは美容関係者さまですが、クリニックやトリマー、マッサージやネイルなど講習を受け、ディプロマ等があれば会員になれます。ぜひお問い合わせください。サロン登録でも、個人登録でもOK!!
ヘアケア商品や化粧品などサロン専売品が卸値で買えるのでとってもお得。