レチノールとは

レチノールは、2017年に厚生労働省からシワ改善に有効と認められた成分です。
そのため薬局やドラックストアなどでは、主に「医薬部外品」という扱いで販売されています。

ほかにもさまざまな肌悩みの改善が期待できる成分でもあるため、レチノール配合の美容液やクリームはとても人気があります。
早速、レチノールの特性や期待できる効果などを見ていきましょう。

レチノールの特性

レチノールはビタミンAの一種です。化粧品としてのレチノールは、肌内ではレチノールからレチナール、レチノイン酸と徐々に変化しながら作用します。

主な特性としては、ターンオーバーの促進や、ヒアルロン酸やコラーゲンの生成です。今では、この特性を利用した医薬部外品の化粧品が販売されています。

一方、レチノールは光、熱、酸素に対して不安定という特性も持ち合わせています。そのため保管には注意が必要です。

レチノールとレチノインの違い

レチノインは、レチノールと同じビタミンAです。どちらも、シワ、たるみ、ニキビに効果が期待できます。

しかし、レチノインはレチノールの約100倍程の強さと効果を持ち合わせているとされており、日本では美容皮膚科などの限定的な場所でしか使用されていません。

なお海外ではレチノインの使用がとても積極的に行われているため、もし肌が敏感な方で海外の化粧品を購入する場合には、十分に気を付けるようにしましょう。

レチノールで効果が期待できる悩み

レチノールのニーズは、シワやたるみが気になるミドル世代（35～50歳半ばくらい）だけではありません。それよりも若い世代からの支持もあり、早めのお手入れを心がけることのできる有効成分だと言えるでしょう。

レチノールで効果が期待できる悩みは次のようなものです。こんなにたくさんの肌悩みに対応できる美容成分なら、試してみたいですね。

レチノールの効果が出るまではどれくらい？

レチノールはゆっくりと効果が出る成分だと思ってください。
そのため、効果が出るまで数ヵ月単位の経過を見ることが大切です。即効性を期待するあまり、すぐに肌変化が実感できずに使用をやめてしまわないようにしましょう。

若々しい肌を目指すためのエイジングケアの場合、効果が実感できるまで半年間は継続した方が良いですね。

レチノールを使う前の注意点

レチノールを使う前に、ぜひ念頭に置いてほしい注意点3つを以下に挙げました。
副反応、パッチテスト、体調の観点から確認していきましょう。

注意点さえ把握していれば、レチノールを末長く安心して使用することができるでしょう。

レチノール使用で副反応が出ることも

人によっては、レチノールを使用することで副反応が出るケースもあります。

レチノールはターンオーバーを促進する効果があります。そのため、使いはじめは、皮むけ、乾燥・赤み・かゆみなどの副反応が出やすくなります。この反応は「レチノール反応」「レチノイド反応」などと呼ばれています。

しかし、使用継続していくうちに肌がレチノールに順応するため、副反応が出にくくなると言われています。

ワンポイントアドバイス
国内の化粧品に含まれるレチノール配合化粧品の場合、レチノール 0.1%という濃度がほとんどです。１%以上の商品になると早めの効果は期待できますが、副反応が出やすいとも言えるでしょう。
そのため、最初はレチノール濃度の低いものから試してみるようにしてください。

注意：海外ブランドのレチノール商品は濃度が高いものが多いため、日本人の肌に対して刺激が強すぎることがあります。濃度の高いレチノールを使用したい場合、皮膚科などの医療機関で相談の上、処方してもらうのをおすすめします。

初めて使うならパッチテストを

レチノール配合の化粧品を初めて使うのであれば、最初にパッチテストをするのが安心です。耳下の首裏付近や腕の内側などに数分つけ、赤みや湿疹などの反応が出ないかどうかを確認します。

また今まで問題なく使用していたレチノールでも、季節の変わり目や商品を変えたタイミングで何らかの反応が出るケースもあります。そのような時は再びパッチテストをするようにしてください。

妊娠中・妊活中の人は使用を避ける

妊娠中の方は肌が敏感になっているため、レチノールを使用することでかゆみや赤みなどの反応が出るケースもあります。こうした時期は、レチノールの使用を避けた方が無難と言えるでしょう。
またビタミンAの過剰な摂取はとされているため、妊娠中の方だけでなく、妊活中の方も使用は控えた方がいいかもしれません。

ちなみに、妊娠中はレチノール以外にも過敏に反応しやすいので、あらゆる成分に注意が必要です。

レチノールの使い方

レチノールを使う上で大切なことは、使用の順番や使用量、頻度などです。
商品によって違いがあるため、ようにしましょう。

レチノールとの併用で、より肌悩みに効果が期待できる成分などについても確認していきます。

レチノールを使う順番

レチノールは油分を含んだ成分です。そのため、基本的に使う順番は化粧水（ローション）、乳液（ミルク）の後になります。そして、必ずアフターケアとしてクリームなどで十分な保湿を行ないましょう。

ちなみに、レチノールは皮膚科などの医療機関で処方されることがあります。そのような時は、医師からの指示（使用量、順番など）に従う事が大切です。

ビタミンCを併用する場合の順番

水溶性のビタミンCを含んだ化粧水と脂溶性のレチノールを含んだクリームなどを併用する場合もあるでしょう。
その場合、ビタミンC配合化粧水をつけた後にレチノールのクリームや美容液などをつけます。

「脂溶性のレチノールと水溶性のビタミンCでは、pH濃度の違いから成分がうまく浸透せず、効果が半減してしまうのではないか？」

という疑問も度々挙がっています。しかし、市場に出ている化粧品のほとんどがビタミンC誘導体として安定化しているものです。そのため、レチノールとビタミンCは併用しても問題ないと言えます。
※併用は可能ですが、混ぜて使うことはしません。

レチノールの量

市販のレチノールの場合は、そのメーカーが提示する用量を厳守しましょう。量が少なすぎたり、多すぎたりすれば効果に影響が出てしまいます。

また医療機関で処方されるレチノールは、その人の症状などに合わせています。医師や薬剤師から容量の説明をしっかり聞いて、適量をつけましょう。

レチノールを使う頻度

基本的に、市販のレチノールならば毎日使用しても問題はないでしょう。

しかし医療機関で処方された場合、使用頻度は医師の指示に従ってください。
また肌が敏感な方は週に3回だけなどにして、徐々に頻度を増やすと安心です。

レチノールとの組み合わせで相性が良い成分

シワ改善が期待できるレチノールと、シミ改善が期待できるビタミンCを組み合わせた化粧品はとても相性が良いと言えるでしょう。これなら、エイジングと美白の両方のケアが実現できますね。

ほかにもレチノールは、アルブチン、コウジ酸などの美白成分との相性も良いため、トータルケアを目指したい方にはおすすめです。

ちなみに、お互いに刺激が強いレチノールとハイドロキノンの組み合わせは避けた方が良いでしょう。

レチノール化粧品の選び方

レチノール化粧品はさまざまなメーカーから販売されています。そのため、どのようなレチノール化粧品を選べば良いか迷うこともあるかもしれません。

ここでは、レチノール化粧品を選ぶポイントをご紹介します。特に、初めて使う方や、今までの化粧品を変えてみようかなと考えていた方は必見ですよ。

末長く継続できる商品を

レチノールは、即効性を求めるものではなく、長く使用して効果が実現できるものです。ですから、末長く継続使用できる商品をセレクトする必要があります。

そのためには、自分好みのテクスチャや香りのレチノール化粧品を見つけましょう。

保湿効果も得られる商品を

レチノールでケアした肌はターンオーバーを早めるため、乾燥しやすくなります。乾燥肌は外部からの刺激を受けやすく、肌荒れの元になるでしょう。

そのため、レチノールのほかにヒアルロン酸やセラミドなどの潤い成分が配合されている物を選びたいものです。

１〜１ヵ月半位で使いきれる商品を

レチノールは光・熱・酸素に弱いため、保存にも気を使ってください。
これらの要因を避ける努力をしていても、真夏の異常な室温の高さや、直射日光などで商品に傷みを生じてしまうことがあるかもしれません。

なるべくならば、開封後１ヵ月ほどで使いきれるような容量の商品を選びましょう。

レチノール使用時の注意点

あらゆる肌悩みに対する効果をレチノールに期待するのであれば、いくつかの注意点を念頭において使用を継続していく必要があります。

最低限注意したい３点を以下に記載しています。

目の周りに塗るときは慎重に

年齢を重ねるごとに、目周りの小じわやハリ低下に悩む方も多いでしょう。そのため「レチノールを使って目周りをケアしたい」と思っている人は多いはずです。

実際に、目周り専用のレチノール商品はたくさんあります。ですが、目の周りの皮膚はとても薄く水分蒸発も生じやすい部位です。そのため、レチノールをつけると一時的に乾燥しやすくなったり、刺激を感じやすくなったりするため、慎重につけるのが大切です。

つけ方としては、極少量を数回慎重に重ねるというやり方がおすすめです。この時、目の粘膜に付着しないように気をつけましょう。
また、ピリピリした刺激がいつまでも続いたり、明らかにかぶれ症状が起きたりした時はすぐに使用をやめましょう。

肌を十分に保湿する

レチノールはターンオーバーを活性化させるため、水分量が低下し、乾燥を引き起こしやすくなります。水分量が低下したままだと、乾燥だけでなくバリア機能が崩れ、外部から刺激を受けやすくなります。
そのため、レチノールを使用する時は十分な保湿が必要です。いつもよりも化粧水を多めにつけるなど、保湿を意識するようにしましょう。

ヒアルロン酸やセラミドなどの潤い成分が配合されているレチノール商品をセレクトすると、保湿もスムーズになります。

紫外線対策を徹底する

レチノールによりターンオーバーが活発になると、皮膚が薄くなります。すると紫外線がその薄くなった皮膚に透過しやすくなるため、赤み、シミ、ニキビ、乾燥、シワの原因を作る可能性が高くなります。

そのためレチノールを使用している時は、紫外線対策としてUVケアや、帽子、日傘などを併用するのが望ましいです。

レチノールの保管方法

レチノールは、光・熱・酸素に対してとても敏感に反応し、不安定になる特性を持ちます。
そのためレチノール商品には、光を透過しにくい不透明で酸素に触れにくい気密性を重視したタイプの容器が積極的に採用されています。

とはいえ、直射日光の当たらない場所での保管が基本であることは覚えておきましょう。

レチノールの購入方法

レチノールの特性や効果が理解できると、早速、使ってみたくなりますね。レチノールはどこで購入できるのでしょうか。

「できれば、レチナールを自分の目で見て、直接手にとって試してみたい」という人もいれば、「忙しいから、通販などで購入したい」という人もいるため、ライフスタイルに合わせた購入方法を見つけてください。

レチノールはどこで買える？

レチノールは、光・熱・酸素に対して不安定だという性質から、かつては医療機関での処方や販売が主でした。

しかし技術の向上により、ここ最近では品質に安定性のあるレチノール化粧品を薬局やドラッグストアをはじめとしたさまざまな場所で購入できるようになっています。

通販でも購入できる？

レチノール製品は、楽天やAmazonなどの通販でも購入可能です。多種ブランドの中から美容液、クリームなどの製品が選べます。
ただし通販はドラッグストアなどと違ってテスティングができないため、口コミやランキングなどを参考にして比較検討してみましょう。

また、万が一、肌に合わない場合に返品保証がついていると安心ですね。

レチノールでエイジングケアをはじめよう

レチノールは、エイジングケアとしてとても有効な成分だということを理解していただけたと思います。
一方でレチノールを継続的に使用するには、いくつかの注意点を念頭に置きながら末長くケアする意気込みが必要です。

年齢とともに衰えがちなお肌は、化粧水・乳液だけの基本ケアではなかなかケアしきれないもの。そんな時こそ、レチノールを普段のお手入れに取り入れてみてはいかがでしょうか。諦めかけていたお肌悩みを解決してくれることでしょう。